スマホアプリの開発の仕方の違い
1-1. 定義の差
アプリ開発には3つの方式があります。
これら三つの方法は、以下のような表にまとめられます。
| 方式 | 概要 | できること | 費用感 | 期間目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|---|
| ノーコード | 画面を並べて作成 | 基本的な業務アプリ・管理画面 | 50万〜500万円 | 3週間〜3ヶ月 | 素早い検証・小〜中規模業務 |
| ローコード | 見たまま作成+一部コード | 複雑な処理・外部連携 | 100万〜800万円前後 | 1〜4ヶ月 | 柔軟性と速度を両立したい |
| スクラッチ | 全てコードで開発 | 自由度最大・特殊要件対応 | 1,000万円〜 | 半年〜1年以上 | 大規模・独自サービス |
● ノーコード(Click, Lark, Kintoneなど)
画面パーツを並べて作る方式。コードを書かずに開発できます。
- 画面作成:ドラッグ&ドロップ(マウスで作成可能)
- データ管理:テンプレート設定
- 非エンジニアでも参加しやすい
開発費用はおおよそ50万〜500万円に収まりやすく、期間も3週間〜3ヶ月程度が目安。
従来より大幅にスピードとコストを削減しやすい点が最大の特徴です。
また、機能追加が速いのも強みで、
1つの改善が「数時間〜数日」で終わることもあります。
新規事業のように素早い検証が必要な場面と相性が良いです。
● ローコード(Bubbleなど)
ノーコードと同じ“見たまま作る方式”ですが、
不足部分を少しのコードで補えるため自由度が高い方式です。
- 特殊な計算
- 外部サービスとの細かい連携
- 複雑な条件処理
これらも対応しやすく、
ノーコードより自由、スクラッチ(0から完全コード開発)より負担が小さい のが特徴です。
● スクラッチ(0から完全コード開発)
全てをコードで作る方式。
- 自由度は最大
- 大規模・特殊な要件にも対応
- ただし期間・費用・専門スキルの要求は最も大きい
従来の開発では、
1,000万円以上・半年〜1年以上かかることも一般的です。
1-2. 速度・コスト・拡張性の違い
1) スピード
- ノーコード:最も短期間で形にしやすい
→ 試作品なら数週間、本番用でも1〜3ヶ月が目安 - ローコード:ノーコードより少し時間がかかる
- スクラッチ:最も長い。6ヶ月〜年単位も多い
2) コスト
- ノーコード:初期費用を大きく抑えやすい
→ 従来の50%以上削減できる例が多い - ローコード:中間的なコスト
- スクラッチ:最も高額になりやすい(人件費が高い)
3) 拡張性
- ノーコード:ツールの範囲内で作る前提
→ ただし、機能追加は最速 - ローコード:不足部分をコードで拡張可能
- スクラッチ:最大限自由に作れる
まとめ:ノーコードのメリットは3つ
- 費用を抑えられる(従来の50%以上削減しやすい)
- 期間を短縮できる(3週間〜3ヶ月で形にできる)
- 改善スピードが速い(数時間〜数日で機能追加も可能)
特に「まず作って試す」「改善しながら育てる」という新規事業の文脈では、
ノーコードの強みが最大限に活きます。
2. ツール紹介(用途と特性)
ここでは、スマホアプリ・業務アプリでよく使われるノーコードとローコードの代表的なツールを、
「向いている用途」「向いていない用途」を中心に分かりやすく整理しました。
| ツール | 主な特徴 | 向いている用途 | 向いていない用途 |
|---|---|---|---|
| Click | iOS/Android/Webを同時開発、日本向け連携に強い | 店舗アプリ、予約アプリ、会員アプリ | ゲーム、3D、複雑なアニメーション |
| Adalo | テンプレ中心で見た目が整う、ストア公開が簡単 | 予約、マッチング、SNS風コミュニティ | 大規模データ、複雑な管理画面、権限管理 |
| Bubble | 自由度が高いWebアプリ向けノーコード | 予約サイト、管理画面、Webサービス | スマホ特有の細かい動作重視 |
| Lark | チャット・申請・業務ツール一体型 | 社内申請、管理アプリ、チェックリスト | 外部向けスマホアプリ、BtoC |
| kintone | 業務データ管理に特化、入力が簡単 | 社内データ管理、申請フロー、在庫・売上管理 | デザイン性の高い一般向けアプリ |
2-1. Click の特徴
- iOS / Android / Web をひとつのプロジェクトから同時に作れる
- 日本語で使いやすく、国内向けの要件とも相性が良い
- LINEやPayPay連携など、日本の利用シーンにある機能を設定しやすい
- スマホアプリを短期間で作ることに向いている
向いている用途: 店舗アプリ、予約アプリ、会員アプリ
向いていない用途: ゲーム、3D、複雑なアニメーション
👉Clickの機能や特徴をまとめた記事はこちらからご覧いただけます ↓

2-2. Adalo の特徴
- 見た目のきれいなアプリをテンプレートで簡単に作れる
- App Store / Google Play への公開までの流れが用意されている
- 小規模サービスなら素早く形にできる
向いている用途: 予約、マッチング、SNS風のコミュニティ
向いていない用途: 大規模データ、複雑な管理画面、細かい権限管理
👉Adaloの機能や特徴をまとめた記事はこちらからご覧いただけます ↓

2-3. Bubble の特徴
- ノーコードの中でも自由度が高い部類
- Webアプリ(ブラウザで使うアプリ)を作るのが得意
- 外部サービスとの連携や拡張も多い
向いている用途: 予約サイト、管理画面、大規模展開のWebサービス
向いていない用途: スマホアプリとしての細かい動きを重視するアプリ
2-4. Lark の特徴
- チャット、カレンダー、ドキュメント、ワークフローなどが一体
- 「簡単な業務アプリ(勤怠管理、申請)」をノーコードで作れる
- 社内利用に強い
向いている用途: 社内申請、簡単な管理アプリ、チェックリスト
向いていない用途: 外部ユーザー向けのスマホアプリ、BtoCサービス
👉Lark全体の機能や特徴をまとめた記事はこちらからご覧いただけます ↓

2-5. kintone の特徴
- フィールド(入力項目)を並べるだけで業務アプリを作れる
- 顧客管理・案件管理・日報など「事務作業のデータ化」が得意
- スマホアプリもあり、外出先の入力に強い
向いている用途: 社内データ管理、申請フロー、在庫・売上管理
向いていない用途: デザイン性の高い一般向けアプリ
3. ノーコード開発の必須注意点
ノーコードは便利ですが、正しく準備しないと 途中で作業が止まる・作り直しになる ケースが多いです。
特に大事なポイントを3つに絞ってまとめます。
3-1. ツールの制約を最初に確認すること
ノーコードには「向いていること」と「向いていないこと」があります。
向いていない例:
- 複雑な動きのあるアプリ
- 3D・ゲーム性のある動き
- 高度な検索やAI的なおすすめ機能
- 同時に使われることが非常に多いサービス
- 細かい動作を自作したい場合
こうした機能は、最初からノーコードでは難しいことが多いです。
作り始める前に、ツールでできる/できないを確認しておくことで、
途中の破綻を防げます。
3-2. セキュリティとデータ構造を後回しにしない
ノーコードでも、扱うデータは重要です。
- ユーザー情報
- 予約内容
- 売上や顧客データ
- 社内の申請内容
これらは、どれも大切な「業務データ」です。
そのため、最初に次の2点を決めることが重要です。
① 権限(アクセス権)
誰がどのデータを見られるか、編集できるか。
② データ構造(データの入れ物)
項目の作り方、どのデータとどのデータをつなぐか。
ここを曖昧にすると、
後半で「もう一度全部作り直す」ことになりやすい領域です。
3-3. 運用(使い続ける仕組み)を最初に決める
アプリは「作る → 出す」で終わりではありません。
- 情報の更新
- 問い合わせ対応
- データの整理
- 不具合が出たときの修正
- 利用者が増えたときの管理
これらを 誰が、どれくらいの頻度で、どう進めるのか を先に決めると、
運用でつまずかなくなります。
ノーコードは特に、
「作るのは速いのに、運用で止まる」という失敗パターンが目立ちます。
4. 開発の流れ(ノーコード/ローコード共通)
ここでは、初めてアプリを作る人でも理解しやすいように、
開発の流れをステップごとに整理します。
4-1. 目的設計と必須機能の整理
最初に明確にするのは、
「このアプリで何を達成したいのか」 です。
例:
- 予約を受け付けたい
- 顧客管理をスマホで簡単にしたい
- イベント参加者の管理を楽にしたい
- 社内の申請の流れを統一したい
目的が決まると、必要な機能が自然と絞れます。
最初は“必要最低限”だけにするのが正解です。
4-2. UI(画面)・導線・DB(データの入れ物)設計
次に、必要な画面をすべて書き出します。
- ログイン
- 登録
- 一覧
- 詳細
- 管理画面
そして、それぞれの画面がどうつながって動くかを決めます。
さらに、扱うデータを整理します。
データベース(DB)とは 「情報をしまう箱」 のイメージです。
例:
- 名前
- メールアドレス
- 日時
- メニュー内容
- 金額
- フラグ(状態を表す印)
ここが整理されると、アプリの土台が安定します。
4-3. ロジック(動きの仕組み)と外部連携
ロジックとは 「ボタンを押したら何が起きるか」 のルールです。
- 登録ボタン → 情報を保存
- 予約 → 通知を送る
- 条件に合うデータだけを表示する
ノーコードでは視覚的に設定できますが、
複雑にしすぎないことが成功のコツです。
外部連携(決済、メール送信、LINE通知など)もここで設定します。
4-4. テスト・申請・公開
アプリが形になったら、次のチェックをします。
- 正しく動くか
- 間違った入力をしても壊れないか
- スマホの画面で崩れないか
- 権限設定は問題ないか
スマホアプリの場合は、
App Store と Google Play への申請が必要です。
審査の日数は変動するので、
公開スケジュールに余裕を持つことが大事です。
4-5. リリース後の改善
公開して終わりではなく、
むしろここからがスタートです。
- 利用者の声
- よく使われる画面
- 使われていない機能
- ミスにつながる導線
これらを見ながら、
小さく改善を繰り返すことでアプリは育っていきます。
ノーコードは修正→反映が早いので、
ここでの強みがとても大きいです。
5. ツール選定で本当に必須な基準
5-1. 予算で候補を先にしぼる
ツールには、月額が
- 数百円〜数千円
- 1万円前後
- 企業向けの数万円〜
など幅があります。
いきなりすべてを比較すると、
「どれもよく見える」「違いが分からない」状態になります。
そこでまず、
予算でざっくり候補を半分以下に絞るのが最初の一手です。
- 小規模/個人:低価格帯
- 事業利用:中価格帯
- 社内DXや本格運用:ユーザー課金型や企業向けプラン
スタートの段階では、
“選択肢を減らすための条件”としての予算は非常に有効です。
5-2. 必須機能が「最初からできるか」を確認する
ツールの比較で最も大事なのは、
「標準の状態で何ができるか」 です。
例:
- 予約の仕組み
- 会員登録・ログイン
- 通知の仕組み
- 決済機能
- 外部サービスとの連携
- ストア公開(スマホアプリの場合)
- データの一覧/詳細表示
- 権限管理(見られる範囲の設定)
ノーコードは便利ですが、
「後でなんとかできるだろう」と期待して選ぶと、
途中で詰まるリスクが高くなります。
なので、
“今の要件が何%そのまま作れるか?” を軸に比較するのが安全です。
5-3. 運用(使い続ける作業)を現実的に見ておく
アプリは作って終わりではありません。
リリース後には次の作業が必ず出てきます。
- 内容の更新
- 利用者の管理
- お知らせ・通知の設定
- 問い合わせ対応
- データの整理
- 軽微な修正
- 新しい画面や項目の追加
これらを
「誰が・どれくらいの手間で・どんなツール操作で行うか」
を先に考えることで、後の負担を大きく減らせます。
ツールによっては、
- 管理画面が扱いやすい
- 更新がすぐ反映される
- スマホから管理しやすい
- 複数人で編集しやすい
など運用のしやすさが全く違います。
作るスピードより、“使い続けるラクさ”で選ぶ方が、長期的には失敗しません。
まとめ
ノーコード/ローコード開発をざっくり整理すると、ポイントはこの3つです。
- ① まずノーコードで“試作品〜初期版”まで一気に作る
- 従来より「費用は50%以下」「期間も1〜3ヶ月」が現実的なライン
- 新規事業や新サービスの検証フェーズと相性が良い
- ② 足りないところだけローコード or スクラッチで補う
- 特殊な処理や大規模対応が必要になった部分だけ、コードで拡張する
- いきなりフルスクラッチにせず、「ノーコード → 必要なところだけ強化」の順で考える
- ③ ツール選定は「予算・必須機能・運用のしやすさ」の3点だけを見る
- 予算で候補をしぼる
- 標準機能でどこまで作れるかを確認する
- 「誰がどう運用するか」を具体的にイメージして選ぶ
この流れを押さえておけば、失敗しにくい開発の進め方ができます。
ノーコード導入を考えている方へ
最後まで、ご覧いただきありがとうございました。
この記事を読んで、「ノーコードで業務や新しい事業を進めたい!」
そう思ってみたものの、「どのツールを使えばいいのか分からない」と感じる方は多いです。
ツールの情報は多く出ていても、実際に、自分のやりたい目的に当てはめると判断まではできない。
ここで手が止まってしまうのは、ごく自然なことです。
私たちソウゾウは、これまで110社以上のノーコード導入支援を行う中で、
最初にツール選定を誤ることで、後から作り直しになるケースを数多く見てきました。
だからこそ、導入前に
・何を目的に、どんな運用を想定しているのか
を開発前の着実なヒアリングで整理し、本当に合うツールを一緒に決めることを大切にしています。
いきなり全体を一気に導入でなくても構いません。
まずは一部の業務を想定しながら、ツール選定だけでも整理してみませんか。
ノーコードツール選定の無料相談をご利用いただけます。

