生産性向上推進体制加算とは|要件・単位数・ICT活用をわかりやすく解説【2026】

生産性向上推進体制加算って、うちも取れるの?」「要件が複雑でよく分からない」「見守り機器やインカムを入れれば取れる?」——2024年度の介護報酬改定で新設されたこの加算、ICT導入の費用を回収しながら現場を楽にできる制度として注目されています。

本記事は、AI×ノーコードで115件以上を支援してきた立場から、生産性向上推進体制加算の要件・単位数・対象テクノロジー・取得までのステップ・よくある落とし穴を、実務目線で整理します。「加算のための導入」で終わらせず、現場が本当に楽になる取り方までお伝えします(2026年時点。単位数・要件は改定されるため、算定時は必ず厚生労働省・自治体の最新情報をご確認ください)。

結論

生産性向上推進体制加算は、テクノロジー導入+委員会+業務改善+データ提出を評価する加算です。加算(Ⅱ)=月10単位、加算(Ⅰ)=月100単位(利用者1人あたり・2026年時点)。

まず(Ⅱ)から取り、(Ⅰ)へステップアップするのが現実的な進め方です。(Ⅱ)は対象テクノロジー1つ以上+委員会(3月に1回以上)+ガイドラインに沿った業務改善+年1回のデータ提出。(Ⅰ)は3種すべてのテクノロジー導入と役割分担の取組が加わります。大切なのは、「加算を取るための導入」ではなく「現場が楽になる導入」の順で設計すること。この順序なら、加算は自然についてきます。

(Ⅰ)100単位/月・人
(Ⅱ)10単位/月・人
3種のテクノロジー
(Ⅱ)→(Ⅰ)で段階取得
西澤 志門

この記事を書いた人

西澤 志門(ソウゾウ合同会社 代表)

一般社団法人Nocoders Japan協会 理事。AI×ノーコードで115件以上のプロジェクトを支援。介護・福祉現場のDXに伴走し、北海道の介護施設でAIシフト自動生成システムを構築中。

支援実績115件+
利用率92%
ICT導入から伴走
加算取得を見据えたICT導入・業務改善を、設計から定着まで支援します。
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この記事でわかること(早見表)

知りたいこと 結論(要約)
加算の概要 2024年度改定で新設。テクノロジー×業務改善を評価
単位数 (Ⅰ)月100単位/(Ⅱ)月10単位
(Ⅱ)の要件 テクノロジー1つ以上+委員会+業務改善+データ提出
(Ⅰ)の要件 (Ⅱ)+3種すべて導入+全居室/全職員+役割分担
対象テクノロジー ①見守り機器 ②インカム等ICT ③記録効率化ICT
取得までのステップ まず(Ⅱ)→効果を出して(Ⅰ)へ
落とし穴 「入れただけ」ではNG。委員会・データ提出が肝

🔴 単位数・要件・対象サービスは介護報酬改定で変わります。本記事は2026年時点の情報です。算定にあたっては必ず厚生労働省の通知・最新資料および指定権者(自治体)にご確認ください。介護DXの全体像は介護DXとはもご覧ください。

01 生産性向上推進体制加算とは

生産性向上推進体制加算は、2024年度(令和6年度)介護報酬改定で新設された加算です。見守り機器などのテクノロジーを導入し、委員会を設置して業務改善に取り組み、その効果データを国に提出する事業所を評価します。

背景にあるのは、介護人材の不足です。国は「テクノロジーの活用で介護現場の生産性を上げる」方向へ舵を切っており、この加算は「導入から運用まで、トータルの実践」を報酬で後押しする仕組みと言えます。つまり、機器を”入れただけ”では算定できません。委員会での検討・業務改善・データ提出という「運用」まで含めて評価される——ここがこの加算の最大の特徴です。

対象は施設系・居住系のサービス(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院・グループホーム・特定施設など)が中心です。自事業所が対象かどうかは、サービス種別ごとの最新の算定要件で必ず確認してください。

02 単位数|(Ⅰ)月100単位・(Ⅱ)月10単位

区分 単位数(2026年時点) ざっくり言うと
加算(Ⅰ) 月100単位(利用者1人あたり) 3種すべてのテクノロジー+役割分担まで実践する「本格運用」評価
加算(Ⅱ) 月10単位(利用者1人あたり) テクノロジー1つ以上+委員会・改善・データ提出の「入口」評価

規模感のイメージとして、利用者80名の施設が(Ⅰ)を算定できれば月8,000単位。1単位10円の地域なら月8万円・年間約96万円の増収です(あくまで単純計算の例。実際の単価は地域区分によります)。ICT導入の費用を、補助金(導入時)+加算(運用後)の両輪で回収できるのが、今の介護DXの現実的な設計です(補助金は介護のDX補助金まとめへ)。

規模別の年間増収イメージ(単純計算の例)

利用者数 加算(Ⅱ)10単位/月 加算(Ⅰ)100単位/月
30名 年 約3.6万円 約36万円
50名 年 約6万円 約60万円
80名 年 約9.6万円 約96万円
100名 年 約12万円 約120万円

※1単位10円・満床・12か月算定の単純計算。実際は地域区分の単価・稼働率・算定開始月により変動します。

(Ⅱ)単体の金額は小さく見えますが、本命は(Ⅰ)へのステップアップと、その過程で生まれる業務削減時間(人件費換算で加算額を上回ることが多い)です。「加算+時間創出」の合計で投資判断をするのが正解です。

西澤 志門代表 西澤

💡 (Ⅱ)の10単位だけ見ると小さく感じますよね。でも私は“入口”だと捉えています。委員会と効果測定の型は、加算に関係なく施設の財産になります。

📌 公式情報源

03 加算(Ⅱ)の要件|まずはここから

(Ⅱ)は「入口」の加算です。要件は大きく4つ(2026年時点・詳細は公式で確認)。

① 委員会の設置・開催

利用者の安全・サービスの質・職員の負担軽減を検討する委員会を設置し、3月に1回以上開催する。

② テクノロジーを1つ以上導入

見守り機器・インカム等・記録効率化ICTのうち、1つ以上を導入する。

③ ガイドラインに沿った業務改善

厚労省の「生産性向上ガイドライン」に沿って、業務の見える化・改善に継続的に取り組む。

④ 効果データの提出

事業年度ごとに1回、取り組みの効果データを国に提出する。

実務のポイント

ハードルに見えるのは委員会とデータ提出ですが、実は「普段の業務改善ミーティング+数字の記録」を型に落とせば回せます。逆に、DXの進め方で紹介した「棚卸し→1業務改善→効果測定」のサイクルを回している施設なら、そのまま委員会の議事と提出データになる——加算と業務改善は同じ活動の裏表です。

委員会で「何を話すか」議題テンプレ

「委員会と言われても何を話せば…」という声が多いので、3月に1回の定例で使える議題の型を置いておきます。

議題 中身(例)
① 数字の確認(10分) 記録時間・入力率・夜間の対応件数など、前回からの推移を確認
② 現場の声(15分) 機器・ソフトの使いにくい点、ヒヤリとした場面、負担に感じる業務
③ 改善の決定(15分) 次の3か月で直すこと・試すことを1〜2個だけ決める
④ 記録(5分) 決定事項と数字を議事録に。この積み重ねが提出データの素材になる

45分あれば回ります。ポイントは「安全・サービスの質・職員の負担軽減」の3観点を毎回必ず通すことと、数字から始めること。感想会ではなく、数字→声→決定の順にすると形骸化しません。

04 加算(Ⅰ)の要件|3種フル活用+役割分担

(Ⅰ)は(Ⅱ)の要件を満たしたうえで、次が加わります(2026年時点)。

① 3種すべてのテクノロジー導入

見守り機器・インカム等・記録効率化ICTの3種類すべてを導入していること。

② 導入の”密度”要件

見守り機器は全居室に設置、インカム等は同一時間帯に勤務する全介護職員が使用していること。

③ 職員間の適切な役割分担

介護助手の活用など、専門職が専門業務に集中できる役割分担の取組を行っていること。

(実務上)効果の実証

(Ⅱ)で回した改善サイクルの効果が数字で示せる状態になっていることが、実質的な土台になる。

つまり(Ⅰ)は、「機器をそろえた」だけでなく「現場全体がテクノロジー前提の働き方に変わっている」ことの評価です。最初から(Ⅰ)を狙って一気に3種導入するより、(Ⅱ)で1つずつ定着させながら段階的に進むほうが、現場も財布も無理がありません。

05 対象テクノロジー3種と選び方

種類 具体例 現場での効果
① 見守り機器 睡眠・離床センサー、見守りカメラ等 夜間巡回の負担軽減・転倒等の早期発見
② 職員間連絡のICT インカム、チャットツール等 探す・呼びに行く時間の削減、応援の迅速化
③ 記録効率化のICT 介護記録ソフト、スマートフォン入力等 二重入力の解消・記録時間の削減

選び方の考え方は、介護ICTツール比較で解説したとおり「自社の業務に合うか」が最優先です。とくに③記録は、既製ソフトが自社の様式に合わない場合、AI(Claude・Claude Code)を活用した自社専用の仕組みという選択肢もあります(記録のAI効率化)。加算要件を満たすかは製品・構成により異なるため、導入前に指定権者へ確認するのが確実です。

加算取得を見据えたICT導入、設計から伴走します

「どの機器・ソフトなら要件を満たしつつ現場が楽になるか」から、委員会運営・効果測定の型づくりまで支援します。

06 取得までのステップ((Ⅱ)→(Ⅰ)の現実的ルート)

  1. 現状の棚卸しすでに導入済みのICT(記録ソフト・インカム等)を確認。実は(Ⅱ)の要件に近い施設は多い。
  2. 委員会を立ち上げる既存の業務改善会議を「安全・質・負担軽減」の観点で再編成してもよい。3月に1回以上の開催を記録。
  3. テクノロジーを1つ導入・定着効果が出やすい記録ICTか見守りから。進め方の6フェーズで小さく確実に。
  4. 効果データを記録・提出削減時間・入力率などを日常的に記録し、年1回提出。
  5. (Ⅱ)算定開始体制届を提出して算定へ。増収分を次の投資原資に。
  6. 3種へ拡大し(Ⅰ)へ見守り全居室・インカム全職員・役割分担を整え、(Ⅰ)100単位へステップアップ。

導入費用は補助金で抑え、運用後は加算で回収——「補助金で入れて、加算で回す」が、この加算時代の介護ICT投資の基本形です。

着手前チェックリスト

✅ (Ⅱ)算定に向けてこの7点を確認

□ 自事業所のサービス種別が対象か、最新の算定要件で確認したか
□ 既に導入済みのICT(記録ソフト・インカム等)が対象テクノロジーに該当するか確認したか
□ 委員会のメンバーと開催サイクル(3月に1回以上)を決めたか
□ 厚労省の生産性向上ガイドラインに目を通したか
削減時間・入力率など、効果データの記録方法を決めたか
□ 体制届の提出先・様式を指定権者に確認したか
□ (Ⅰ)を見据えた段階導入の計画(次に入れる機器)があるか

すでに記録ソフトやインカムを使っている施設なら、実は(Ⅱ)まであと一歩というケースが少なくありません。まず現状の棚卸しから始めてみてください。

07 よくある落とし穴

「機器を入れただけ」で申請

この加算は運用までの評価。委員会・業務改善・データ提出が伴わないと算定できない。

委員会が形骸化

議事録だけの委員会は続かない。現場の困りごと→改善→数字で確認の実務サイクルに乗せる。

データ提出を後回し

効果測定を導入時から設計していないと、提出時に慌てる。削減時間・入力率を最初から記録

加算目的でツールがミスマッチ

要件を満たすだけの機器選定は現場が使わず本末転倒。現場が楽になる選定→加算はついてくるの順で。

この加算の本質

生産性向上推進体制加算は、「介護DXをちゃんとやっている施設への継続報酬」です。だからこそ、加算から逆算するのではなく、正しい進め方でDXを進めれば、要件は自然に満たされていきます。加算は目的ではなく、正しい取り組みへのご褒美と捉えるのが健全です。

西澤 志門代表 西澤

💡 “加算のための導入”で使われないツールが、いちばんもったいないパターン。現場が楽になる順番で入れれば、要件は後からついてきます。

西澤のひとこと

西澤 志門西澤 志門
ソウゾウ代表

加算やICT要件の相談でいちばんお伝えしたいのは、「加算のための導入」は続かないということです。要件を満たすことだけが目的になると、現場は入力の手間が増えたと感じ、使われなくなる。逆に、現場が楽になる導入を先に設計すると、結果として加算の要件も自然に満たせる——これが正しい順番だと考えています。

私が徹底しているのは、「人間にしかできない仕事」と「人間がやらなくてもいい仕事」を切り分けること。記録や報告といった定型業務はAIで一気に短縮し、空いた時間を利用者と向き合うケアに回す。削減できた時間こそ現場にとっての価値であり、加算はその取り組みを後押しする制度、という位置づけです。

個人情報の扱いも欠かせません。利用者の機微な情報を扱うため、入力した情報が生成AIに学習されない設定にしたうえで導入します。人手不足がこれから深刻になる中で、加算を”取りに行く”より、現場を楽にする取り組みを続けた結果として加算がついてくる——この発想を持てるかどうかで、1年後の事業所には差が出ます。

08 よくある質問(生産性向上推進体制加算)

生産性向上推進体制加算とは何ですか?

2024年度介護報酬改定で新設された加算で、テクノロジー導入+委員会+業務改善+効果データ提出に取り組む事業所を評価します。(Ⅰ)月100単位・(Ⅱ)月10単位です(2026年時点)。

(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは?

(Ⅱ)はテクノロジー1つ以上+委員会・改善・データ提出の「入口」。(Ⅰ)は3種すべての導入(見守りは全居室・インカムは全職員)+役割分担の取組が加わる「本格運用」の評価です。

対象のテクノロジーは何ですか?

①見守り機器 ②インカム等の職員間連絡ICT ③介護記録の効率化ICT(記録ソフト・スマホ入力等)の3種類です。製品が要件を満たすかは構成によるため、導入前に確認を。

委員会はどのくらいの頻度で開けばいいですか?

3月に1回以上の開催が要件です。既存の業務改善ミーティングを「安全・質・負担軽減」の観点で再編して充てる形でも運用できます(記録は必須)。

データ提出は大変ですか?

事業年度ごとに1回です。削減時間や入力率などを日常的に記録する仕組みを最初に作っておけば、提出時の負担は小さくできます。

どのサービスが対象ですか?

施設系・居住系サービス(特養・老健・介護医療院・グループホーム・特定施設など)が中心です。自事業所のサービス種別が対象か、最新の算定要件で必ず確認してください。

補助金と併用できますか?

導入費用に介護ICT補助金等を使い、運用後にこの加算を算定する組み合わせが基本形です。同一経費の重複などのルールは各制度の要綱で確認を(補助金まとめ)。

取得の支援はしてもらえますか?

はい。要件を満たしつつ現場が楽になるICT選定・導入、委員会・効果測定の型づくりまで伴走します。無料相談からどうぞ。

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※本記事は2026年時点の公開情報にもとづく一般的な解説です。算定の可否・要件充足の判断は、必ず最新の公式情報と指定権者への確認にもとづいて行ってください。

「現場が楽になるDX」で、加算まで自然に取る

支援実績115件+・利用率92%。要件を満たすICTの選定・導入から、委員会運営・効果測定の型づくり、(Ⅱ)→(Ⅰ)へのステップアップまで——ソウゾウが伴走します。

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